平成15年度のプラネタリウム


1.投映機の改良

夕焼け・朝焼け用の電球

送風機に使った換気扇

エアドーム上部

教室内に設置したエアドーム

 プラネタリウムの上映は日没から日の出までとしましたので、夕焼けの空から真っ暗な夜空、そして朝焼けの空へと変化して行きます。この夕焼けと朝焼けを表現できるようにしました。
 また、上映中は投映球をゆっくりと回転して日周運動を表現しているのですが、回転が不安定で止まってしまうこともありました。

(1)夕焼け・朝焼け用電球の追加
 投映機の支柱に腕を付け、その先端にソケットを取り付け赤色の電球を差します。ソケットの外周には、電球の光が観客の目に入らないように黒色のボール紙で作った覆いを付けます。そして、ドームの外側からスイッチ操作できるようにコードを伸ばし、スイッチを2つ取り付けます。なお、電源は投映機の光源と共有で交流100Vを使います。

(2)駆動装置の改良
 投映球の回転が不安定であった主な原因は、ギアボックスの出力軸に取り付けた模型用ゴムタイヤとローレットを刻んだ投映球架台の外周が滑ることにあることが分かっていました。
 そこで、ギアボックスの取り付け位置を調整してゴムタイヤを押しつける力を強くしました。また、ローレットを刻んだ架台の外周に幅広の輪ゴムを接着して摩擦が大きくなるようにしました。この改良により滑ることなく確実に回転するようになりました。

2.エアドームの製作

 平成13年に製作したドームの鉄骨溶接構造の上部球面屋根は色々と問題がありました。それは、とにかく重く大きく移動・組立が大変であり、使わないときには邪魔になること。また、スクリーンとするために紙を貼って内面を白色でペイントするのですが、次年度の文化祭で使うまでに破れて(破られて?)貼り直さなければならなくなってしまうことなど、とにかく使えるようにするのに手間がかかり大変でした。
 そこで、エアドームとすることによりこれらの問題を解決しようと取り組みました。 

(1)エアドームの構想
 製作しようと考えたエアドームは、平成13年度に製作したドームの下部円筒壁をそのまま使い、上部だけを布製のスクリーンにして空気を送って膨らませ、膨らんだ布の内側に星を映し出そうと考えました。そして、ドーム内に空気を送る送風機には家庭用の換気扇を使うことにしました。

(2)布の選定
 エアドームのスクリーンとなる布の条件には、(1)白色で光をよく反射して投映機で星を投影したとき星が明るく見えること。(2)軽くしなやかで弱い空気圧で膨らむこと。(3)光を通さない遮光性を備えていること。そして、(4)価格が安いこと。が必要と考えました。
 これらの条件を備えた布を近所の布屋さんで店員のお姉さんに無理を言いながら探してもらいましたが、(3)の条件だけは他の条件と相反していて布屋さんにも見あたらないため諦めました。そこで、白色で光沢があり目が詰んでいて軽くて薄くしなやかな布を探してもらい、90cm×27m購入しました。
 (3)の条件を諦めるということは、プラネタリウムの上映環境を変えることになります。つまり、外からの光がスクリーンを通過してドーム内を明るくしてしまうため、真っ暗な状態にした教室の中にドームを設置して上映をしなければならないことになります。

(3)布の裁断と縫合
 直径3mの半球形のドームは、周囲12枚の布と1枚の天井1枚の布を縫い合わせた構造とし、そのための寸法を割り出しました。その結果、1枚の布の大きさは縫い代を含めると85cm×215cmの先すぼまりの形状となり、ドームの天井には直径58cmの布を当てることになります。
 割り出した寸法で布を直接切り始めるのではなく、1/10の尺度で紙を切って模型を作り、寸法が正しいことを確認しました。次に、ハトロン紙に現尺で型紙を作り、型紙を当てながら寸法を取って13枚の布を切り出しました。
 13枚の布の縫合には、家庭科の先生にお願いして学校のミシンを使わせてもらいました。

(4)送風機の取り付け
 布製のドームに空気を送り込んで膨らませる送風機に、羽根の大きさ25cmの換気扇を使うことにしました。換気扇を取り付けるため、ドームの下部円筒壁に穴をあけ、木枠を取り付け、ここに換気扇をはめ込みます。
 エアドームには観客の出入りがあり、その時の空気の抜けが心配になります。観客の出入りで空気が抜けてもすぐに膨らむだけの送風量があればそれほど問題はないのですが、実際に完成させてみないと分からないところです。このことについては完成してから必要があれば対策を考えることにします。理想的には出入り口を二重構造にして、空気が外に漏れることを最小に押さえる工夫が必要なところでしょう。

3.文化祭(一般公開)でプラネタリウム上映

 平成15年11月8日(土)の文化祭(一般公開)で、プラネタリウムを上映し、数えただけで64名の地域の方々や小学生・中学生に観てもらいました。
 プラネタリウムをエアドームにしたため、教室が真っ暗になるように暗幕をかけなければなりません。上映の手順は、教室の入口にドアマンがいて、観客が7〜8人入ったら上映が終わるまで教室の扉を閉めます。次に観客をドーム内に案内してドームの扉を閉め、教室の蛍光灯を消して上映を始めます。このとき夕焼け用の赤色電球を点灯しておき、観客の目が慣れるまでしばらく待って消します。上映時間の約5分が経過したら朝焼け用の赤色電球を点灯してしばらく待ち、教室の蛍光灯を点灯して上映は終わりとなります。そしてドームの扉を開け、教室の扉を開けて観客の退室となります。


科学部トップページへ戻る